2009年5月19日火曜日

古墳時代の鏡(前編)

 古墳時代、いわゆる大和朝廷(王権)が出現したころの権威の象徴の一つとして青銅で作られた鏡があります。これらの鏡は弥生時代のころから中国から輸入されてきており、一部は古墳時代まで代々受け継がれたものもあります。
 古墳時代の鏡でもっとも有名なのは卑弥呼がもらったとされる三角縁神獣鏡(さんかくぶちしんじゅうきょう)でしょう。この種類の鏡が卑弥呼の鏡とされる根拠としては、当時中国の魏王朝の歴史書、『魏志』の「倭人の条」(いわゆる魏志倭人伝と知られているもの)の中にある、卑弥呼が魏の皇帝への贈り物のお返しに銅鏡を100枚もらったという記述があります。三角縁神獣鏡は現在国内で100枚以上出土しており、中国では出土していないため、当時の日本(倭の国)に対して特別に作られたものであると考えられています。
 実際、当時の邪馬台国の候補地と考えられている大和地方(現在の奈良県)を中心にたくさんの三角縁神獣鏡が出土しており、大和を中心とした政権が各地方へ主従関係を結んだ証しとして各地方の有力者に配った痕跡が残っています。
 三角縁神獣鏡の話が長くなりましたが、他にも色々な文様の施された銅鏡が作られ、三角縁神獣鏡と同じようにいろんな地域の有力者に配られました。次では東広島市内で出土した銅鏡について解説します。